私たちの住まいを日々守ってくれている屋根ですが、その劣化は静かに、そして確実に進行しています。雨漏りなどの深刻な事態に至る前に、屋根が発している劣化のサインに気づき、適切なタイミングでメンテナンスを行うことが、結果的に大きな出費を防ぎ、家を長持ちさせることに繋がります。しかし、屋根は普段なかなか目の届かない場所。どのような点に注意すれば良いのでしょうか。まず、地上からでも比較的確認しやすいのが、屋根全体の色褪せです。新築時には鮮やかだった屋根の色が、なんとなく白っぽく、くすんで見えるようになったら、それは塗膜が劣化し始めているサインです。塗膜は、屋根材を紫外線や雨水から保護する重要な役割を担っており、この保護機能が低下すると、屋根材自体の劣化が加速してしまいます。次に、スレート屋根(コロニアル、カラーベストとも呼ばれる)の場合、注意したいのが「ひび割れ」や「欠け」、そして「コケやカビの発生」です。特に、北側の日当たりの悪い面にはコケが生えやすく、これが水分を保持することで屋根材を脆くしてしまいます。ひび割れは、放置すると雨水の浸入経路となり、雨漏りの直接的な原因となります。金属屋根の場合は、「サビの発生」や「塗膜の膨れ・剥がれ」が重要なサインです。小さなサビでも、放置すれば徐々に広がり、最終的には穴が開いてしまうこともあります。また、日本瓦の屋根では、「瓦のズレや割れ」に注意が必要です。強風や地震によって瓦がずれたり、物が当たって割れたりすると、その隙間から雨水が侵入します。また、棟瓦を固定している漆喰が崩れてきている場合も、メンテナンスが必要な時期であることを示しています。これらのサインは、双眼鏡を使えば地上からでもある程度確認することが可能です。もし、ご自宅の屋根にこのような症状が見られたら、それは専門家による詳細な点検が必要な時期かもしれません。年に一度でも、意識して自宅の屋根を見上げてみること。その小さな習慣が、大きなトラブルを未然に防ぐための第一歩となるのです。深刻なダメージを受ける前に、屋根の声に耳を傾けることが大切です。
見逃さないで屋根が発する劣化のサイン