我が家が築十五年を迎えた際、古くなったフローリングを新しくするためにキッチンの床張り替えリフォームを行いました。当時はリフォーム費用を少しでも安く抑えたいという一心で、システムキッチンを設置したまま、その手前までを張り替える「見切り工法」を選択しました。業者さんからは、キッチンを外すと設備工事費がかさむと言われ、それならば見える場所だけ綺麗になれば十分だと安易に考えてしまったのです。しかし、工事が終わって数日が経つ頃には、私の心には言いようのない後悔の念が広がり始めました。まず最初に気になったのは、新しくなった明るい床色と、キッチンの足元にわずかに残った古い床の境界線です。隙間を埋めるための見切り材が設置されましたが、そのラインが予想以上に主張し、空間の一体感を損なわせているように感じました。さらに、想定外だったのが床の「高さ」の変化です。既存の床の上に新しいフローリングを重ね貼りしたため、床面が一センチほど高くなりました。その結果、キッチンのワークトップの高さが相対的に一センチ低くなり、毎日の炊事の際に腰にかかる負担が微妙に変わってしまったのです。たった一センチの差ですが、長時間キッチンに立つ身としては、以前よりも疲れやすくなったことを痛感しました。また、最も困ったのは掃除の問題です。キッチンと新しい床の間のわずかな段差や、コーキング処理された隙間に、いつの間にか細かな埃や油汚れが蓄積するようになりました。どんなに丁寧に掃除機をかけても、奥に入り込んだ汚れを完全に取り除くことは難しく、以前よりも不衛生に感じてしまいます。そしてリフォームから五年後、ついにキッチン本体を交換することになったのですが、古いキッチンを撤去して現れたのは、過去の自分が張り替えを断念した古い床の残骸でした。新しいキッチンは以前のものより奥行きが数センチ短かったため、そのままでは古い床が丸見えになってしまい、結局その部分の床を急遽補修するために追加の費用と時間がかかってしまいました。あの時、数万円の追加費用を惜しまずにキッチンを一度取り外して、部屋全体の床を一気に張り替えていれば、これほど長い間ストレスを感じることも、無駄な補修費を払うこともなかったはずです。これからリフォームを考えている方には、目先の節約が将来の大きな損失になりかねないことを、私の苦い経験を通して強くお伝えしたいです。