置き畳を三、五年と使い続けたユーザーから寄せられる不満の中で、最も解決が困難なのは「形状のゆがみ」と「カビ・臭いの定着」という、製品の寿命に関わる致命的なデメリットです。市販されている多くの置き畳は、裏面に滑り止め用のゴムや樹脂が貼られていますが、この素材は経年劣化によって硬化したり、逆にベタつきが発生してフローリングに固着したりします。一度床に滑り止めがこびりついてしまうと、専用の洗剤を使っても綺麗に剥がすのは困難で、床そのものの価値を下げてしまうことになります。また、畳の芯材として使われている断熱材やプラスチックボードは、長期間の歩行ストレスや家具の重みによって、徐々に四隅が反り返ったり、中央が沈み込んだりします。本物の畳のように専門の職人が隙間を調整してくれるサービスは存在せず、一度歪んでしまった置き畳は、畳同士の間にさらに大きな隙間を作り、そこがゴミの溜まり場となる悪循環から抜け出せません。さらに深刻なのは、液体をこぼしたり、ペットが粗相をしたりした際の内部へのダメージです。芯材まで水分が浸透してしまうと、表面をいくら拭いても内部で雑菌が繁殖し続け、季節の変わり目に不快な臭いを放つようになります。このような状態になった置き畳を自力で完全に洗浄し、乾燥させることは実質的に不可能です。通常の畳であれば「乾燥殺菌サービス」などを利用できますが、置き畳はその構造上、こうしたプロのメンテナンスに対応していないものがほとんどです。また、廃棄時の問題も忘れてはいけません。置き畳は「い草」「プラスチック」「ゴム」などが強固に接着されている複合素材であるため、分別が極めて困難です。多くの自治体では粗大ゴミとして有料回収となりますが、いざ捨てようとした時にその重さと大きさに辟易し、ベランダや物置の隅でカビを発生させながら放置されてしまうケースも多いのです。手軽に導入できるという入り口の広さは、処分しにくいという出口の狭さと表裏一体です。