夏の暑さが本格的になり始めた頃、我が家のリビングにある網戸に大きな穴が開いているのを見つけました。小さな虫が部屋に入り込むようになり、夜も安心して窓を開けられません。早速管理会社に電話を入れましたが、担当者の返答は冷ややかなものでした。網戸の張り替えは消耗品の交換にあたるため、入居者様のご負担でお願いしていますという一点張りです。納得がいかないまま電話を切り、契約書を読み返してみると、確かに小修繕は借主負担という文言が並んでいました。大家さんに直接掛け合おうかとも思いましたが、たかが網戸一枚のために険悪な関係になるのも避けたいところです。そこで私は、人生で初めての網戸修理に自力で挑戦することに決めました。ホームセンターへ向かうと、網戸の張り替えコーナーには必要な道具が全て揃っていました。替えの網と、網を枠に固定するためのゴム、そして専用のカッターとローラー。締めて二千円にも満たない出費です。自宅に戻り、ベランダで古い網を取り外す作業から始めましたが、長年の埃が溜まっていて作業は想像以上に汚れました。しかし、新しい網をローラーで溝に押し込んでいく作業は、意外にも没頭できる楽しさがありました。コツを掴むまでは網が弛んでしまったり、四隅の処理に苦戦したりしましたが、一時間もかからずにピンと張った綺麗な網戸が完成しました。枠を窓枠に戻した時の達成感は、管理会社と不毛な交渉を続けていた時のストレスを完全に拭い去ってくれました。プロに頼めば一万円近くかかることもありますが、自分でやれば安上がりなだけでなく、建物の構造を少しだけ理解できたような気がして自信もつきました。賃貸だからといって何でも管理会社任せにするのではなく、自分でできる範囲のメンテナンスは自分で行う。それが、この部屋に対する愛着を深めるきっかけにもなると気づかされた出来事でした。今では、網戸を通して入ってくる夜風が、以前よりもずっと心地よく感じられます。